（過去事例）クライアントは本業が中堅不動産業でしっかりとした経営基盤を持ちながら事業多角化を目論み、老舗の鉄板焼き飲食業態の買収を行い、当該事業会社を傘下に収め経営に入った。当社は、歴史ある既存店舗のリノベーションを起点として、今後の複数店舗の出店計画について総合的に事業開発コンサルティングを受託した。現状を把握し分析を進める中、一番の課題はファイナンスや物件開発ではなく、キッチンスタッフやホーススタッフの勤務体系、技能評価とモチベーション、人材育成方法が重要課題であった。当該の老舗企業は長い社歴で硬直化した組織体制となっていたため、人事制度の刷新が急務であり、現状では出店計画に伴った採用戦略と技術継承は上手く進まない。新たな組織づくりと評価制度の刷新に着手を行った。現行の就業規則において、時代にそぐわない箇所の点検・抽出と、既存の幹部スタッフと調理技能スタッフの評価・棚卸しを行いながら、新たな組織体制の仮説を立て、あるべき人事制度・評価制度を再定義した。そして、「等級、報酬、昇進昇格、懲罰規定、技能認定、資格認定、表彰、独立支援」の各セクションの立案から、付帯する個別の運用マニュアルを作成し全体を仮構成（約3ヶ月間）した。本構成は運用をしながらチューニング（約3ヶ月間）を行った。飲食、レジャーエンタテインメント、ホスピタリティ系ビジネスの人材採用を潤滑に行なってゆくには、（当たり前ではあるが）従業員の勤労意欲を高めるための適切な評価システムと組織づくりが必要となる。そこには時代に応じた企業文化の在り方に加えて、テクノロジーの進化による社会状況を踏まえた働き方に対する寛容さが根源的に重要だと感じる（阿部）