No.2:甘い言葉に潜む罠 – ワンルーム投資詐欺の巧妙な手口と自己防衛の重要性
#将来の安定収入、節税効果…ワンルーム投資の落とし穴
近年、「将来の安定収入」「節税効果」「借金を返済し終えた後は資産になる」「老後に副収入を得る基盤になる」などを謳い文句に、ワンルームマンション投資を勧誘する悪質業者が後を絶ちません。言葉巧みなセールストークで不動産投資・運用の知識が希薄な消費者を惑わし、不利な契約を結ばせる悪質な業者がかなり多く存在します。
適切な物件を選び、慎重に計画すれば、ワンルーム投資は全て悪い投資ではないかもしれませんが、よほどの好条件でない限り、そう上手くはゆかないものです。
私も、そういったワンルーム投資専業会社の営業実態を見たことがありますが、テレアポリストの入手方法、アポ電話の掛け方、追い込み、逃走などなど、ひどいものです。
ワンルーム投資が全て詐欺とは思いませんし、全てのワンルーム投資が損失に繋がるとも思いません。そこで重要なのは、物件の選定と購入条件、十分な収益シュミレーション、契約内容の確認、そして何より業者選びです。
「頭金はわずかでOK」「残りのほとんどは30年フルローンで」といった言葉で安易にマンション購入を勧める業者には特に注意が必要です。少ない自己資金で不動産オーナーになれるような感覚は魅力だと思いますが、実際、ローン返済が終わるまで、マンションは実質的にあなたの所有物ではありませんし、あなたはワンルーム投資会社や提携サブリース業者に利益を与えながら、銀行に借金を延々と返済しているだけでしかないのです。
「借金を返済し終えた後は資産になる」と業者は言いますが、マンション建物(上物とも)
は時間の経過とともに劣化します。上物は、一般的に、築10年を超えると新築販売時の50~80%ほどまで価値が下がる傾向があり、それは築25年程度で下げ止まる場合が多いです。
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用マンションの場合、法定耐用年数は47年。法定耐用年数を超えると、建物の劣化具合に関係なく、税法上の資産価値はゼロになります。
そして、長く時間が経過すると管理費、修繕積立金は一般的に増加してゆきます。合わせて、固定資産税、都市計画税も微増する可能性もあります。また、初期の契約時家賃は、10年後、20年後も同じ家賃が取れるでしょうか?建物が老朽化していて、周辺に新しいマンションが建ち、あなたのマンションの競争力が低下したことで、家賃収入が下落する可能性は十分にあります。一般的に、あなたの家賃収入はじわじわと年々減少しながら、維持費用は数年単位で増加してゆきます。
また、サブリース契約で家賃保証するから大丈夫と、説明するワンルーム業者もいます。しかし、サブリースしていても、部屋の借り手が付かなければ、空室のまま放置するわけにはいきませんから、借り手をつけるために家賃を下げる話が必ず出てきます。
こういった状況になった後で、少々損を出しながらでもすぐに売却できるならまだ良いですが、しかし、悪質なワンルーム業者は解約困難な家賃保証(サブリース契約)をあなたがうっかりしている間にかけていることもあります。
サブリース契約といえば、過去には「かぼちゃの馬車事件」のような大規模な詐欺事件も発生しました。建設会社や金融機関までもが関与し、多くの投資家が甚大な被害を受けました。大手金融機関であっても安易に信用するのは危険です。
話は逸れますが、大手金融機関もリスクの高い仕組債を堂々と販売していたり、また、世界的には普通ではない代表者の個人連帯保証を、リスク説明不足のまま慣習化していたりするのは日本の金融業界の特徴です。つまり、銀行も利益追求のためには手段を選ばない側面があるということです。あなたは、銀行の業績のために、返済を30年間続けなければならないという状況になる場合があります。
最近は50年住宅ローンを勧めている金融機関もありますね。繰上げ返済すれば良いとか、最悪の場合、物件を売れば良いなどのセールストークがありますが、きっちりと50年で返済できる、もしくは途中での売却益を取れるという、このローンを使った20代、30代前半の若者のうち、1割もいかないでしょう。
(20代、30代前半で収入が十分(例えば年収900万以上とか)にあって、将来的にも安定して稼げる力があって、良いエリアの駅近新築マンションを選択し、良い管理会社を見つけてサブリース付けずに、頭金を3割程度入れながら50年ローンを組み、その後、10年以内にキャピタルゲインが見込めるタイミングで上手く売却するなら、これができそうであれば、検討しても良いかもしれませんね。)
話を戻します。建物の価値は経年劣化する話をしましたが、土地の価格は建物ほど大きくは劣化しにくいと言えます。ただし、これは立地と利便性の良い場所に、そのマンションが建っているという場合に限ります。東京都心なら中央区や港区といったエリアの土地です。もちろん、日本経済がこの先著しく疲弊すれば、土地価格も下落する可能性は十分ありますが。一方、日経平均株価が 10年後に2倍、20年後に3倍となっていけば、土地の価格も当然ながら上昇して行きます。しかし、この先、日本の人口が減ってゆくこと、耐震基準がさらに更新され、今の新耐震が時代遅れになる可能性なども考慮するべきでしょう。いずれにせよ、不動産は立地がほとんどの価値を決定すると言って良いです。
投資にはリスクは色々とあるのが普通ですが、悪質なワンルーム業者から買う場合は、投資ではなくほとんど詐欺に乗るようなものです。悪質なワンルーム業者ではない、親切で丁寧な不動産業者で、あらゆるリスクを考慮する前提で、それでも買いたいのであれば、
・近隣駅から徒歩10分以上の場所にある
・エレベーターなし
・日照条件が悪い
・リビングや寝室からの眺望が悪い
・電気温水器がメイン稼働
・総戸数が少ない
・1階部分(区分)
・丘の上に立っている
・坂道の途中に立っている
・カーブしている道路の途中(特に外円箇所)に立っている
・主要移動方法が電車ではなく、バスメインになっている場所
・その他
というようなマンション物件はひとまず避けた方が良いと思います。他にもたくさんあるので、上の項目を避ければ大丈夫とは言えませんが、一つの目安です。
#駅近?そして市区町村の人口増減数や人口流動性は?
そのマンション物件が所在する市区町村の人口増減数が、原則、毎年伸びていて、人口流動性が高い(=低くない)立地するエリアの主要駅、その主要駅が急行停車駅なら尚更ベターですが、駅から少なくとも徒歩7分圏内までで検討しましょう。さらに周辺に駅が2つ以上あればもっと良いです。それでも「絶対に大丈夫」という保証はありませんが、まだマシです。
※また、以下の国土交通省のネガティブ情報等検索サイトに、各種業者をチェックしましょう。また新築マンションの場合は、どこが建設を請け負っているかも要チェックです。
(参考情報URL)国土交通省のネガティブ情報等検索サイト:
将来的にワンルームマンションに資産性を期待する、という点について、キャッシュで良い立地のものを買うならまだしも、35年ローンとかを利用して買うということは、私個人は全く賛成できません。
しかしながら、それぞれの人生観、価値観に基づく投資判断がありますので、もし、ワンルームマンション購入を検討される場合には十分に収支のシュミレーションを行い、契約書に書かれている内容を細かくチェックし、あらゆる運用上のリスク分析をしてください。投資には常にリスクが伴うことを理解しておく必要があります。
当社は「事業開発コンサルティング」の立ち位置で、を不動産やM&A案件を取り扱っており、売主・買主の双方がWin-Winの関係構築を見極めながら、有益な取引をサポートしています。
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